--- title: "「そこまでやる?」で止まらない — 自分のどこが具体的にトチ狂っているのか、数字で確認した" description: "自分でもトチ狂っていると思う。発想が変なわけではなく、「ちょっと気になった」を個人が運用する仕組みの規模まで持っていってしまう。台本エディタの 54 日で 2,471 コミット、読み上げ 30 万回、1 日に下書き 9 本。自分では普通のつもりだった数字を全部数え直して、どこで止まらなくなるのかを整理した。収益がほぼ無いのに続いている理由も含めて。" url: https://ryuuneko.com/blog/where-exactly-im-broken published: 2026-09-12 19:37:37.565453 updated: 2026-09-12 19:37:37.565453 --- 自分でもトチ狂っていると思っています。ただ、どこがどう狂っているのかを言葉にしたことはありませんでした。目の前の困りごとを順番に片付けているだけのつもりで、気づくと規模がおかしくなっている。 一度ちゃんと整理してみたら、こういう結論になりました。**発想がおかしいわけではない。普通なら『そこまでやる?』で止まる地点を、何度も通過している。** その自覚を確かめるために、数え直しました。この記事は自分の棚卸しです。数字は全部、今日この時点でデータベースとリポジトリから実際に数えたものです。 --- ## 1. 台本エディタ: 54 日で 2,471 コミット 「[書き庭](https://kakiniwa.jp/)」という、茶番劇やボイスドラマの台本を書くためのデスクトップアプリを作っています。きっかけは単純で、自分が台本を書くのに不便だったからです。 数えました。 | | | |---|---| | 最初のコミット | 2026 年 7 月 18 日 | | 最新のコミット | 2026 年 9 月 10 日 | | その間 | 54 日 | | コミット数 | 2,471 | **1 日あたり約 46 コミット**です。これを見て、さすがに自分でも「そうか」と思いました。 問題は量ではなく、**範囲が勝手に広がったこと**です。台本エディタを作るだけなら、文章を書けて保存できれば終わりです。実際にはこうなっています。 - 登場人物と世界観の管理 - 素材(立ち絵・音声)の管理 - 各種書き出し(動画編集ソフト向けの形式を含む) - 配布(インストーラと自動更新) - 問い合わせ窓口と一次対応 最後の 2 つは、アプリを作る話ではありません。**運用**です。しかも 1 人です。問い合わせが 3 方向から来るようになったので受付の仕組みまで作った話は[別の記事](/blog/kakiniwa-intake-ai-support)に書きました。今読み返すと、あれは「そこまでやる?」の典型でした。 --- ## 2. 読み上げ Bot: 30 万回、起動 216 日 Discord の読み上げ Bot「ずんだー」を運用しています。こちらも数えました。 | | | |---|---| | 読み上げた回数 | 307,551 回 | | 累積の起動時間 | 215.8 日 | 起動時間は「Bot のプロセスが動いていた時間の合計」で、待機している時間も含みます。声を出していない時間のほうが長いはずですが、それでも半年以上、止まらずに待機し続けていることになります。 そして、この Bot には読み上げと関係ないものが大量に生えています。緊急地震速報、津波、天体イベント、人狼、ワードウルフ、釣り。自分でも「これまだ読み上げ BOT なのか」と立ち止まった記録が[この記事](/blog/zunda-yomiage-bot-jimon)です。 自分で言葉にすると、**「配信者が便利な Bot を作った」の範囲をとうに越えている**。越えた自覚はありました。ただ、越えた理由が毎回「それはそれとして必要だったから」なので、止まる理由が見つからないのです。 地震速報を足したとき、私は「通知が来なかったら意味がない」と考えて、配信の優先度キューと切り替え先まで作りました。**おまけ機能に、落ちない仕組みを付けた**わけです。今考えると、そこが分岐点でした。 --- ## 3. 個人サイト: 59,534 行の PHP を捨てた このサイトの裏側です。つい先日、素の PHP で書かれていたものを全部 Next.js に入れ替えました。 | | 前 | 後 | |---|---|---| | ソースコード | PHP 165 ファイル / 59,534 行 | TypeScript 249 ファイル / 27,671 行 | きっかけは「記事一覧がちょっと遅い」でした。それだけです。そこから「ブログだけ作り直そう」になり、最終的に**サイト全体**になりました。経緯とやらかしは[その記事](/blog/php-to-nextjs-full-migration)にそのまま書いてあって、自分でタイトルに「(バカ)」と入れています。 ほかにも、マインクラフトの地上絵を複数人で共有するために **Rust でリアルタイム同期サーバー**が動いています。個人サイトの一部として。用途ごとに理由はあるのですが、並べてみると規模がおかしいのは否定できません。 --- ## 4. 思いついてから形になるまでが速すぎる 棚卸しをしていて一番「たしかに」と思ったのがこれでした。 **記事を 1 日に何本も書きます。** 数えたら、2026 年 9 月 12 日に作った記事は 10 本でした(公開 1 本、下書き 9 本)。下書き 9 本はライセンスとセキュリティの話題で、1 日で一気に書いています。 職場向けに社内交流の案を思いついたときは、翌日には資料と**動くデモ**を持っていきました。企画書だけで十分な場面です。 この速さ自体は AI のおかげです。実装の大半は AI に書かせています。ただ、**何を作るか決めるのも、つなぐのも、確かめるのも、公開後に面倒を見るのも自分**です。速くなったのは手を動かす部分だけで、判断の量は増えています。狂人に AI を与えるとこうなる、ということだと思います。 --- ## 5. で、これを交替勤務の合間にやっている ここが一番おかしい部分だと思います。 私は本業が交替勤務です。作っているものからの収益はほぼありません。広告は控えめに出していますし、[運用費は公開](/cost/)していますが、要するに趣味の範囲で赤字です。寄付窓口も作っていません。 それでも続いています。 「金にならん、破綻しそう」と自分でも思います。ただ、止まる理由になっていません。理由は分かっていて、**動いていないと気持ち悪いから**です。問い合わせが見逃されそうなら受付を作る。Bot が黙って止まるなら番犬を付ける。テストが緑なのにバグが出るなら検証の仕組みから見直す。その連鎖が止まらないだけです。 --- ## 結論: 発想ではなく、止まる位置がおかしい 棚卸しの結果を一言でまとめると、こうなりました。 **思いつく内容は普通。おかしいのは、どこで手を止めるか。** 普通の人が「まあこれで十分」と判断する地点を、私は毎回通過しています。通過した理由はいつも筋が通っているのに、通過し続けた結果を並べると量が異常になる。**そこは強みだと思っています。ただ、集客や収益より先に作る量が膨らむ。** 後半が痛いところです。作る速度に対して、届ける速度と稼ぐ速度が全然追いついていません。今のところ解決策は無くて、せいぜい「作るのを減らす」か「届けるのを増やす」のどちらかなのですが、前者は無理そうなので後者を少しずつ試しています。この記事もその一環です。 自分をトチ狂っていると言うのは自虐のつもりでしたが、**量が異常なのは事実で、数えたら本当にそうだった**。ただ、狂っているのは発想ではなく止まる位置のほうだ、というのは今回はっきりしました。次に何か思いついたとき、少しは早めに止まれるかもしれません。 たぶん止まらないと思いますが。 --- *※この記事の数字は 2026 年 9 月 13 日時点で、リポジトリとデータベースから実際に数えたものです。コミット数は `git log`、読み上げ回数と起動時間は Bot のデータベース、行数は `find` と `wc` の結果です。*